今でも
あの時のあなたの言葉が　私を苦しめる

あなたは
私と居る限り　私以外の相手を作らない　と　そう最初に言った
嘘をつかない人だから　と
私は信じて
私はあなただけのものだと　そう思っていた
あなただけの蝶々だと
信じて　その薄羽を着飾っていた
誰の目から見ても
私はあなたのものだった

あの日　あなたは
私のかわりは居るのだ　と　そういう事を言った

その時
私の背中の薄羽は引き裂かれた
無意味で綺麗な蝶々の薄羽

その日から私は
あなただけの蝶々ではなくなった
私の幸せな日々は
その日を境に　徐々に蝕まれていった
その日を境に　徐々に私は狂っていった


「ワタシノ替ワリハ居ル」


あなたの元から飛び出すまで
その言葉は
毎日の様に私を苦しめた
替わりになんかなりたくない
あなたの傍から　私を追い出さないで。。。

今は一番…今、あなたに一番近いのは私…
毎日　毎日　呪文の様に唱えた

自分に　言いきかせるため
くじけない様にするため
私は　あなたの一番近くに居るもの　なのだと
あの時のあなたの言葉を　払拭しようと
毎日　必死だった

引き裂かれた薄羽を
慌てて引き寄せて　繋ぎ合わせても
その鱗粉が　ムダだと　まるで私をあざ笑うかの様に舞う

思うように　着飾れなくなったその薄羽
あなたの手で引き裂かれた　私の誇り


「ネェ…アノ言葉ハ嘘ダト言ッテ…」


私の願いは空しく　空を漂う
お願い…
替わりなんかいない　って言って…
私の替わりなんかいない って笑って
あれは冗談なんだ　と笑ってよ…

あなたのために
自分のために　着飾っていた薄羽は
見る見るうちに　色褪せて　みずぼらしくなっていった

私の小さな小さな自信と
あなたのものだという大きな誇りが
たくさん詰まった　私の綺麗だった薄羽
あなたの　あの　言葉　という刃が切り裂いた

みずぼらしくなっていく私
自信なんてものはなくて
いつも　いつも
私はいつ　取って替わられるのだろう　と怖かった
あなたと一緒の時でも
あの言葉は片時も脳裏から離れない
なんでもないように　平静を装っていたけど
少しずつ　苦しみと悲しみが私を醜くしていった
次第に　醜くなっていく私に
あなたは　八つ当たりを始めた


「ドウシヨウ…　笑顔ガ作レナイ…」


苦しい…　助けて…

私の言葉は　想いは　届かない
引き裂かれた薄羽を抱きしめて　私は　泣いた
涙の粒が　色褪せた薄羽の上に落ちても
鱗粉はそれを　あざ笑うかの様にはじく

私は　もう一度　あなたのものだという　自信と誇りを取り戻したくて
あらんかぎりの願いを込めて　カケに出た

苦しいのは　もうイヤ
哀しいのは　もうイヤ
あなたの横で　心から笑顔で居たい

願いは　想いは　届かなかった
私は　あなただけの蝶々に　戻れなかった

今でも…
私は　あなたの蝶々で居たい…
願いは…　想いは…
あの時から　全然変らない…